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「社員はコストじゃない」の見出しのコラム

従業員を大事にするイタリアのアパレルメーカーが業績を伸ばしているそうです。カシミア製ニットウェアが主力製品の「ブルネロクチネリ」、60か国以上に店舗を広げ、1400人を本社のある地元の小さな村で雇用しており、従業員の賃金は業界水準の2割高との事。

確かに企業会計上は人件費は「コスト」です。最大収入・最小経費が企業経営の大原則ですから、人件費も低ければ低いほど良いという考えがあります。確かに正しくはありますが、間違いでもあります。

まず企業経営の目的が大きく分けて二つあります。

一般的に企業経営の目的は株主利益の最大化だと言われてきました。つまり収入から人件費を含むコストを最小化し、利益を最大化して然るべき税など最終経費を払った後の純利益が株主配当や還元の原資になりますので、経費項目の中でもかなりのウェイトを占める人件費を節約するのは正しい行動です。

しかし外部株主がいないような企業は、別に株主還元を最大化する必要はありません。そうなると内部株主=ほぼ経営者の考え方次第です。その経営者の企業経営目的が、「企業の永年に渡る存続」、今流行りの言葉でいうとサスティナビリティ=企業の持続可能性だとすると、企業が健全に事業を営むには、従業員・取引先との良好な関係と適切な分配が不可欠になります。そして地域貢献なども必要でしょう。

そうすると人件費は従業員が喜んで働ける額を分配するという方針になります。

このブルネロクチネリは、そのような考え方に基づく経営ではないでしょうか?同社にはアマゾンの前CEOジェフ・ベゾスなど著名経営者がその秘訣を聞きに訪問するそうです。

創業者のクチネリ氏曰く、「働く事は消耗ではない。誰しも仕事を通じて人間の尊厳を高めるべきだ」

そうですね、楽しくない仕事しても仕方ありません。わたくしも、カレッジリング・チャンピオンリング作りが楽しくて仕方ありません。

フィリップ カレッジリング