日本のモノ作り

昨今、日本を代表する製造業で相次いで不正が発覚し、「日本のモノ作りは大丈夫か?」という論調で、識者があーだこーだ述べていますね。

 

この点の本質は、「モノ作り」ではありません。

「サラリーマンの劣化」です。

 

 

これ日本の企業が抱える大問題です。ここでいうサラリーマンとは、主に「サラリーマン経営者」を指します。三菱自動車、日産、神戸製鋼、東レ、などは歴史ある大企業で、株主構成が細分化され、「オーナー不在企業」ばかり。つまり、経営陣は全員がサラリーマンです。

名門大学を卒業し、「キャリア組」とか「総合職」としてデスクワークを主にビジネス人生を過ごし、経営企画部とか開発本部とか・・・・でキャリアを積み、部長になり、海外支社の役員をして、本社の役員になり、社長になる・・・みたいな典型的なエリートサラリーマンの出世コースの人々です。MBAとかアメリカの大学に留学したとかの経歴の持ち主も多くいます。

こうしたエリートと言われるホワイトカラーの「サラリーマンの質が劣化」しているのです。以下のような性向の人々が大企業の経営陣として陣取っているので、問題が起こるのです。

 

 

1. 現場を知らない。
2. スーツ着てネクタイ締めてデスクワークをする事が仕事と思っている。
3. 「任期」があるので、任期中つつがなく過ごしたいという心理で問題への前向きな取り組みをしない。
4. 自己資本で経営している訳ではないので、最終的に無責任。
5. 高学歴低学力で、付加価値創造能力が無い。

 

 

神戸製鋼の社長の謝罪会見を観ました。彼、いかにもエリート、上品な企業経営者ですね。とても鉄工所のオヤジには見えませんでした。悪く言ってゴメンナサイ。

 

わたし、鉄工所で働いた事無いけど、高炉だと火を消す訳に行かないから年中無休・24時間稼働ですよね。作業服の工員(彼らもサラリーマン)が、1000度以上の高温環境、操作を間違うと爆発とかケガや命の危険のある職場を24時間365日、交代勤務で支えています。こうした人々は「ブルーカラー」です。ブルーカラーの人々が原料を加工し製品にする付加価値が企業収益の源泉です。ホワイトカラーの人々は、何にも生産しません。なんの付加価値も生みません。

でも、ホワイトカラー社員は経営企画部とかにいると「自分が会社を引っ張っている」みたいな思い込みになります。しょせん書類作りと手続きだけの仕事ですけどね。

 

こうしたホワイトカラーの人々の言う事をブルーカラーの人々は、絶対に本心から聞き入れる事はしません。「本社からの指示」とか「社長の意向」とか、現場を知らないホワイトカラーの言う事なんかブルーカラーの人々の本音は「くそくらえ」なんです。

 

ホワイトカラー側の論理は、マニュアルがあるのにそれを守らない現場が悪い・・・という事になります。神戸製鋼にしても日産にして、謝罪会見で述べられる経営陣の論旨は全てそのようになっています。

 

これじゃあ問題の根本は解決しません。一時的に気を付けるでしょうが、胸元過ぎれば熱さ忘れる・・・でまたまた将来、問題が繰り返されるでしょう。その典型例は三菱自動車ですね。不正に次ぐ不正で、ついに名門の三菱資本系列から離れ、ルノー日産の子会社になってしまいました。

 

 

まあ、簡単な構図なんです。

 

ネクタイ組(ホワイトカラー)が制服組(ブルーカラー)を本当の意味でマネジメント出来ていないってコトですわ。

 

もちろん不正に関係した制服組は、深く反省せねばなりません。

 

フィリップ カレッジリング

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