PGとWG その2です。
その1では主にWGについてご説明しました。
今度は製作中のPGリング写真とともにPGとは?もご説明します。
PGは金合金に含まれる銅Cuを多く配合し、赤みを出したものを言います。
ISO基準では、PGなどカラーゴールドを以下のように定義しています。
千分率で表記されていますので一般の方にはわかりにくですね。簡単にするには3桁を一桁繰り下げてみると分かりやすいです。例えば「585→58.5%」と読み替えれば分かりやすくなります。通常「18金」というと18KYG(色の呼称3N)は、Au75% Ag12.5% Cu12.5%が代表的配合です。
今回のリングは18KPGです。ISO基準の「色の呼称:4N」です。
配合はAu75%(18金の必須配合率)Ag8.5~9.5% 残りがCuつまり15.5~16.5%となります。イエローゴールドより銅の割合を多くして、銅の赤みを利用してピンク色にする訳です。
ただ、このカラーゴールドについてのISO基準は「参考としてのもので規格としない」と注記がついている項目です。なぜならカラーゴールドは中世から様々な配合があり、定義不可能に近いのです。
例えば、ある有名な世界的レディースジュエリーブランドのPGは、Cuを20%近く入れ、少量のZn(亜鉛)含んだ配合にしています。こうする事で、コストが下がる事(AgよりCuやZnは安い)と、Znは粘性があるので加工しやすくなります。別のジュエリーブランドでは、Pd(パラジウム)を配合し、強度を高めて最終的にはPGメッキで色を出している場合もあります。
変な言い方ですけど、カラーゴールドはISOが規格を決めていないので「いろいろやり放題」。
でもPhilip College Ringでは、三元素(Au/Ag/Cu)以外のZnやPdなどは入れず、伝統的なCu割の増加でピンクゴールドを作ろうと思います。
さて、加工開始。鋳造し、粗研磨したリング枠に石載せの準備をします。
まずダイヤを留める位置にドリルで穴を開け、「当たり」を付けました。
次いで、センターストーンを置くクレーター内を石の座りが良いように削ります。
石を仮載せしてみると、いい感じです。
脇からの見た目も良好。
しかしこの後、問題発生!!!
削った石留爪を滑らかに研磨する下処理として火を当てたところ、あちこちの地金表面がボソボソになり、細かいス穴がたくさん出ちゃいました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここまで加工して気づいた事は、Cu割合が多いので非常に粘性が低い地金であるという事です。通常の18Kは粘性・延展性が良いので、分かりやすく言うと「削りやすい・曲げやすい・戻しやすい素直な地金」なんですが、ピンクゴールドは「削りにくい・脆い・曲げにくい少々気難しい地金」です。
あるブランドがZn(亜鉛)を配合する意味が良く分かりました。ようは地金の粘性を増し、加工しやすくするのでしょう。
続く
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