BCP 事業継続計画

昨今の大阪北部地震の後日、読売新聞に小さな記事が。

「BCPへの取り組み不十分」「LINE空振り」の見出し。

BCP=Business continuity planning事業継続計画のコトですね。災害などが発生した際、企業・団体・もちろん自治体も出来るだけ早く、機能を回復し、社会生活への悪影響を最小限に抑えようという社会全体の取り組みを指します。

 

この大阪北部地震の後、7月には西日本豪雨で多くの地域で災害が発生し、大阪北部地震の際よりも日本社会に多大な影響が出ました。

 

このBCPの背景には、東日本大震災の後、自粛ムードが蔓延し、日本の社会そのものが機能低下を来たし、混乱し、株価が下がり、海外への日本製品の輸出が落ち込み、経済が大打撃を受けた事があります。

 

BCPの概念は2004年にイギリス政府が発表し、アメリカなど西欧各国では政令とされているものですが、日本では未だ未整備です。しかし、東日本大震災後の社会的・経済的混乱を経験し、その後も熊本などの地震もあり、ようやく2016年に経産省・国交省を中心に取り組みが始まっています。簡単に言うと、企業団体自治体は、災害があっても極力早く機能を回復し、正常化しなさいという事です。

 

率直に言って、企業は放っておいても正常化の努力をします。正常化しないと、収入が減り、社員に給料が払えなくなります。自治体も通常は月金の9時5時で仕事をしていても、災害など緊急時には曜日関係無し・24時間稼働する責務を持っています。

 

 

そうなると、ポイントは一般の人々の「心理」でしょう。

 

社会全体は、風評や自粛などネガティブなムードに押し流されず、日常の社会生活を維持すべきという事でもあります。これ、大事ですね。大震災後、自粛ムードになり、催し・イベント・プロスポーツ・コンサートなどが軒並み中止になったりしました。外出買い物を控え、消費が停滞し、「被災地可哀そうモード」でまるで第二次大戦中の「欲しがりません勝つまでは」のようなネガティブムードが蔓延しました。

 

 

これ、いけません。

 

大戦中も、「戦地の兵隊さんは大変なんだから、、、」みたいな自粛ムードで、政府が強制的に稼働させていた軍需産業以外が機能せず、国力がどんどん落ち込んだのです。

 

災害が起きた時も、被災者の方々へのお見舞いの気持ちを持ちつつ、社会を正常に機能させる事が被災地のいち早い復興に寄与する事を心に刻むべきです。正常な社会が機能する=生産・販売・物流・輸送・通信・報道などなどが機能すれば、被災地に必要なモノ・コトの情報が正確に伝わり、それをスムースに届ける事が出来るのです。

 

何よりも、自粛ムードは消費の停滞を招きます。日本経済全体の半分近くを占める個人消費が落ち込むという事は、連鎖反応で企業の売上減=設備投資や経費支出の減、税収の減とGNPの負の連鎖を招く事を知らなければなりません。

 

 

東日本震災後に、プロ野球が開幕すべきか否か?の議論が起こり、讀賣グループの渡辺恒雄氏がセ・リーグを予定通り開幕させる!と強弁し、批判を浴びました。

 

 

これ、批判の方が間違い。

 

計画停電しているのに、電力を喰うナイターやドーム球場で娯楽をするのか!って世論でしたが、開幕当初は野外球場は総じてデーゲーム、ドーム球場1個は中型遊園地や大型パチンコ店と同じ程度しか電力を消費しません。東京ディズニーリゾートは1日に57万キロワットを消費しますが、東京ドームは1日4万キロワットと14分の1程度。

 

当時の選手会長でさえ、感情と風評に流され、開幕に反対した始末。

 

呆れます。。プロ野球選手として自らの仕事を放棄し、自らの収入を断つってコトですけどね。試合が開催され、興行収入が無ければ、契約した年棒の原資が無いってことがわかんないんですかね?

 

そりゃ、被災した仙台球場や周辺が液状化して危険があるマリンスタジアムで強硬開催するのはナンセンスですが、被害が無い地域の被害の無い球団や観客が試合観戦する事を抑制する方がおかしいです。試合を開催する事で、球場へのアクセスの交通インフラが稼働し、飲食をすることで地域経済が回り、被災地以外の社会が正常に稼働する事で、被災地への復興支援の基礎が成り立ちます。

 

社会と経済は、循環関係にあります。

 

感情と風評には、冷静に対処しましょう。

 

風評は100%間違い。

 

感情的判断もほぼ間違い。

 

感情は人間の内部に留め、社会活動は平常に行う事が大切です。

 

フィリップ カレッジリング

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