知る人ぞ知るブランド、Van Cleef & Arpels(ヴァンクリーフ・アンド・アーペル)。ティファニーやブルガリなどの有名ブランドと比べると圧倒的に認知度は低いですが、「世界最高峰のジュエリーブランド」です。19世紀にパリ、ヴァンドーム広場に開業したアトリエが発祥だそうです。
なぜ「世界最高峰のジュエリー」なのに、知名度が無いか??
それは、「お高い」を通り越して「買えない程高い」からです。
ネックレス 4500万円
リング 700万円
ピアス 1000万円
って価格帯。
モナコ王室ご用達で、客層は主にヨーロッパの王族、元貴族、富豪。商品は、リング・ネックレスなどの装身具とともに、セレモニー用のティアラやドレスアップ用のブローチなど。
「比較的」リーズナブルな価格帯の代表商品は、「アルハンブラ」という四葉のクローバーモチーフのジュエリーシリーズで、ネックレス180万円、リング50万円。
ワタクシ、このヴァンクリ、常に研究しているブランドです。
カレッジリングと正反対のジュエリーじゃないの?と仰る事でしょう。
でも、この世界最高峰の技術は、まさに学ぶべき事盛りだくさんなのです。
特に、ヴァンクリの技術的代名詞「ミステリーセッティング」は、留爪が一切見えずに、平面曲面にびっしりと宝石を留めていく「門外不出」の技術と言われています。
このミステリーセッティングの話しをすると、あまりにも長くなるので、今回はもう少しカレッジリング・チャンピオンリングに近いヴァンクリ絡みのお話しにします。
今年の春のヴァンクリの新作シリーズ「フォリヴォル」コレクションが発表されました。
これ、その代表作のリング・
「やっぱり、カレッジリングと似ても似つかネージャン!」
と仰るでしょう。
研究ポイントは、花の花弁部分の石留めスタイルです。
普通は、45度、135度、225度、315度、つまり時計の針で言うと、01:30 10:30 08:30 04:30の対角線位置に4本の爪を立てて留めますが、このフォリヴォルでは、3本爪。更に爪の先が、おしべのように先が丸くなっています。そして、ガクを見立てた石留め台座もリング本体とは別物のようで、中央のダイヤをめしべ、留爪をおしべ、台座をガクに見立てた作り。
きっと、石座はタイピンのようにポスト(針)の先端にガク状の造形を作り、留爪を立ててリング本体の中央に穴あけをして、差し込み、部分ロウ付けしたと推察します。そして石留めして爪を曲げて留めた後に先を球状に丸めたものでしょう。
そして、同じシリーズの豪華版は「パヴェ・セッティング」でダイヤを敷き詰めてあります。パヴェとは、フランス語で石だたみ。
つまり、隙間なく石だたみのように宝石を敷き詰める技術。これ、まさにチャンピオンリングに応用出来ます。
ミステリーセッティングとは違い、留爪が見えていますが、非常に美しい配列です。スペースに合わせて石の大きさも微妙に変えて、それの不自然さを感じさせない配置はみごとの一言デス。
このヴァンクリの石留めを見ていると、ワタクシのチャンピオンリングの石留め技術は、まだまだ稚拙だな・・・と感じます。