地金相場分析 その1 

トランプ大統領就任以来、NYの株式市場が騒がしいですね。

 

特に昨年後半から、NYマーケットでは史上最高値が出たかと思うと、史上最高の下げ幅とか言っています。また、金利がどーのこーので債権市場も騒がしいデス。まあ、いずれも実業に関係無いマネーゲーマー達が騒いでいるだけですけど。

 

その証拠に株や債券は暴れていますが、商品相場(原油や貴金属)、為替相場は至って平静です。ワタクシ、仕事柄長年為替と地金相場を観察し、自らがそのレートでオカネを支払ってきていますので、肌身に感じるものです。

 

長期の金相場を見てみましょう。

1998年から20年間の推移です。

金はトロイオンス(32g)単位の取引きで、1998年に約300ドルだったものが、現在1330ドルと4.4倍。途中、2011年頃をピークに高値1800ドルとかつけましたが、下がってきています。2010年頃から2013年頃までは、金銀積立の金融商品などのCMも盛んで、「金は上がり続ける」と言われ(誰かが勝手に言って)かなりの方が金投資をしたりしたものです。

 

確かに金は、新たな埋蔵鉱山が発見されない限り、現在確認されている埋蔵量を現状のまま掘り続けていくと2050年頃に枯渇するかも???と言われています。

 

実際には、リユースとかリテンションと言われる再利用技術が発達していますので、その「寿命」は伸びているようです。

 

 

銀相場はと、、、

金相場とほぼ同じ動きです。1998年にオンス6ドルだったものが現在17ドルと2.8倍。最高値は2011年に50ドル近くまでつけました。

 

 

参考までにプラチナ相場も見てみましょう。

こちらは金銀とは違った動き方をしています。

ところで皆さん、プラチナは貴金属として最も価値がある(高い)ものと思っていませんか?それ、間違い。1998年統計当初はオンス300ドルで金と同じ水準。現在はオンス1000ドルで金の1300ドルより3割程度安いのです。

 

ではなぜプラチナが高い・・・と言われていたのかというと、1990年頃に三つの大きなことが起きました。ひとつは排ガス規制。もうひとつはIT革命。プラチナの用途で最も多いのは排ガス浄化触媒です。1990年代後半に世界的に排ガス規制が厳しくなり、排ガスを転換する唯一の素材としてプラチナが注目されたのです。そしてスマホやタブレットなどモバイル革命でも、ICチップなどの素材にプラチナが多用されたので、そのモバイル端末の生産量に比例して需要が高まったものです。

 

そして、その排ガス触媒とIT向けの需要急増に目を付けたのマネーゲーマー達が投機商品にしてしまったのです。だから金銀相場には影響しなかった2009年のリーマンショックの前に最高値を付け、リーマンショックが起こると暴落しました。

 

ちなみにプラチナを装身具に最も使う国は日本です。世界的にはプラチナは、灰色で見た目が悪く、延展性が無く単純な造形しか作れないので人気ありません。

 

 

続く

フィリップ カレッジリング

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