時間を守るという事

昨年12月の読売新聞の小さなコラムに目が留まりました。

 

内容の概略はこうです。

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(コラム)筆者の友人でルーマニアに住んでいる人から聞いた話し。列車が10分弱の遅れでホームに滑り込んで行ったら、乗客から拍手が起こったそうです。その国では、列車は1時間や2時間遅れるのが当たり前だとの事。時刻表通りにピタリとホームで発着する日本の電車は世界に類が無いとの事。

 

なのになぜ、先般の山陽新幹線の異音・異臭事件では台車枠の亀裂は後3㎝で破断するところだった状態で3時間も走り続けたそうです。猛スピードの新幹線で台車が破断したら福知山線事故どころじゃない大事故になったでしょう。それでも時刻表通りにホームにつきたかったのでしょうか?

 

その福知山線事故の主たる原因は、1分半の遅れを取り戻そうと「回復運転」を行い速度を大幅に超過したものだそうです。1時間や2時間じゃありません。たったの1分半です。

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このコラムでは、福知山線事故と山陽新幹線事故を起こしたのは両方ともJR西だという事で、JR西の体質を疑問視する主旨でした。

 

しかし、ワタクシはJR西の体質よりも日本人の「定時」や「納期」に対する行き過ぎた観念の方が気になる記事でした。神戸製鋼の不正事件も不良品をリジェクトして再生産すると納期に間に合わなくなるから・・・というのが主因です。

 

「規定に満たない」との定義がありますが、ようは自分の製品の品質に自信が持てるものを提供するか?否かです。モノ作りをしていれば、予期せぬ不良は必ず発生します。その不良品をそのまま出すか?出さないか?作り直して出すと納期遅れる・・・こりゃ大変!と思うか? 遅れを謝ってキチンとした品質のモノを出すか? どっちが大事かの価値観の比較です。

 

 

JAL/ANAも世界の航空会社の定時運行ランキングでは常にトップクラスだそうですが、「定時着陸率」「定時離陸率」のいずれも90%前後と100%ではありません。ワタクシ国内線、国際線ともに良く利用しますけど、「整備の遅れ」とか「機長の判断による機器の点検」「発着機が多く、滑走路が混雑しているので出発(着陸)に遅れが生じます」などの理由がアナウンスされる遅れは全然OKですし、逆に整備を端折ったり、機器の作動に疑問があるのに飛ぼうとする方が大迷惑です。滑走路が混んでるのに「回復運転」とばかりに滑走路に突入しないで欲しいデス。

ようは、安全・安心や品質を定時や納期と取引きするべきでは無いと思います。

 

フィリップ カレッジリング

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