このところ、宅配便の送料など「輸送費」「運賃」に関するニュースが騒がれていますね。
大きくは、二つの面があります。
ひとつは「モノの輸送コスト」
もうひとつは「購入に付随るサービス」
まず大前提条件として「モノを輸送する」のは必ずコストが発生します。この大前提を忘れたかのような議論は論外と言えます。車両輸送なら、車両費・ガソリン代・有料道路料金・ドライバー人件費・積み降ろし拠点維持費・車両への保険代金、車検費用等々。鉄道輸送、空輸も然り。極端な話し「飛脚」として人間が運んでも運んだ人への労賃が掛かります。
この輸送コストを無視する事は、物流業界で生活している人々を無視する事にもなります。私たちの生活は、物流・輸送が無ければ近代的な生活を営めませんし、企業は経済活動を出来ません。
通販等で一般的な「送料無料」は、「購入に付随するサービス」の一種です。典型例がお歳暮・お中元の全国送料無料サービスですね。これは、競争から生まれたものです。日清のサラダオイルギフトなら三越で買っても、高島屋で買っても品質は同じです。例えば、三越の方が高島屋よりお客様が多いとすると、高島屋は三越のお客様を誘引するために送料無料とします。しかし、三越も対抗策として送料無料にするので、結局は同質同サービス競争になります。
問題は、ここで起きました。
「デフレ」という問題です。
同質のモノを送料無料など同サービスで販売すれば差別化出来ません。でも百貨店からお歳暮を贈るのに百貨店独自の印刷がされている包装紙が省けません。「お歳暮」ののし紙も省けません。そこで更にモノの価格を下げようとします。これが百貨店だけではなく、スーパーでもコンビニでもギフトショップでも起こり、モノの価格が下がる「デフレ」になります。
消費者は、それに慣れちゃいます。
送料取られると、「ナニーー!!」ってなっちゃうのです。
ここで更に問題が悪化しました。
「送料無料当たり前」という消費者意識という問題です。
でもデフレは、行きつく先、モノの価格が下がり、周辺コストを抑える=企業収益の悪化=人件費の抑制 となり、結局はその企業で働いている人の給料が下がりますので、その給料下がった人々は、より安いモノを求めるようになり、企業はより安くしようとします。
これ、「デフレスパイラル」。
ヤマト運輸はじめ、宅配便業界の値上げは、このデフレスパイラルにくさびを打ち込む効力があると思います。決して、ヤマト運輸のドライバーの人は、大きな家に住み、別荘を持ち、外車に乗る生活をしているワケではありません。宅配便企業幹部も同様でしょう。そうです、「A地点からB地点にモノを運ぶ」事への正当な対価の要求なのです。
そして荷主と言われる企業側は、運送業者を値切って、その他周辺コストの事業者を値切って、価格を下げれば売上が増える・・・という間違った幻想を捨て、自らの商品の品質・サービス付加価値による競争に転換しなければなりません。
そして消費者も「送料はタダ」が当たり前という誤った認識を捨てる必要があります。
以前、「ZOZOTOWNの送料は高い」と消費者が投稿した事に対して、ZOZOTOWNの前澤社長がツイッターで「タダで商品が届くと思うな」と反論し、大騒動になり、謝罪しました。この前澤社長の発言は、自社の顧客に対する姿勢の面で謝罪に値いしますが、「タダでモノは届かない」は当たり前の話しなのです。つまり「送料無料」に慣れ切った消費者意識へのモノを売り、運ぶ企業(通販企業」の反発なのです。
ちなみにPhilip College Ringは、お客様に送料を請求しておりません。
しかし「送料無料」ではありません。
カレッジリング・チャンピオンリングという認知度の低い商品をご注文頂けるお客様への感謝の気持ちなのです。決して同業他社との競争対策ではありませんし、そもそもカレッジリング業界には競争相手がさほどありません。
当社は、ヤマト運輸・佐川急便、日本郵便の3社に商品・書類を運んで頂いておりますが、きちんと正当な対価を支払っています。彼らがモノを運んでくれなければ、ワタクシはモノを作る材料や道具も入手できないし、作った商品をお客様に届ける事も出来ません。当社の事業を側面で支えてくれている物流業者の皆さんへの感謝の気持ちですし、当然の対価ですので、値切ろうとも思いません。