世界的に半導体不足の状況が続いています。
昔は「鉄は産業のコメ」と言われ、製鉄産業は国の近代化の基幹産業でした。今や半導体は国レベルを超え、世界的な基幹産業になり「21世紀の産業のコメ」になったようです。
IT化が進み、何でもかんでも半導体が必要です。スマホ・PCのみならず周辺機器、家具家電、住宅設備、そして端末のみならず、工場やオフィス、携帯基地局も半導体の塊りです。
そして「走る半導体の塊り」になった自動車。半導体不足で、トヨタ・ホンダ・ニッサンなどの自動車メーカーは相次いで減産を表明。
身近なところでは、住宅用のトイレやお風呂が入ってこないので竣工が遅れる!!???という珍現象が昨年来続いています。セラミックの便器が無いんじゃありません、ウォッシュレットなどを動かす電子部品の材料不足で生産に滞りが出ているそうです。
そこで世界各国では、半導体産業の育成・助成を活発化させています。
日本はかつて大手電機メーカーが半導体を生産し、世界有数のシェアを誇っていましたが韓国・台湾勢との競争に敗れ、相次ぐ撤退で半導体の国内供給体制が脆弱化したところに今回の半導体不足が直撃で、サプライチェーンの停滞が起きたものです。
記事では、台湾のTSMCがソニーと合弁で熊本に半導体工場を新設し、その事業案件に国が補助金を出すというものです。
半導体生産大手を見ると、アメリカ・韓国・台湾でほとんどのシェアを持っています。
ただ米インテルやマイクロン・テクノロジー、クアルコム、エヌディビアなどはいずれもPC・スマホなど高性能半導体が主力。家具家電や自動車などに使う汎用半導体は、韓国サムスン電子やSKハイニックス、そして台湾のTSMCが主力にしているそうです。
日本の最大手は旧東芝メモリのキオクシアが生産量世界12位に入る程度。パナソニックはかつて松下電子工業が1950年代から半導体生産をしていましたが、2010年代には全面撤退しています。ソニーや日立も細々と半導体生産を続けていますが、シェア上位にはリストされていません。
そう言えば半導体メーカーの世界ランキングを見ていたら、アップルが13位に入っています。12位のキオクシアと生産量は肩を並べるレベルです。これ、非常に大きな示唆を含みます。アップルといえば「ファブレス」の代表格企業。設計・ソフトウェア開発を自社で行い、ハードウェアは受託生産企業に外注するビジネスモデルです。しかし、そのハードウェアの急所、半導体は自社生産に舵を切っています。つまり、最終的には主要部品は自社生産が一番安定するってコトですね。
Philip College Ringの事業は比較的単純なサプイチェーン構造ですが、やはりキーポイント部分の自社製化はいざという時の存続に関わりますので、しっかりと考えねば・・・・・と思った次第です。