ワクチン接種ですったもんだしてますね。
「日本はコロナワクチンで遅れをとった」とマスコミが騒いでいますが、既に2014年頃に日本のワクチン行政の判断ミスから新たな疫病発生への対処能力が無い事で勝負がついていたのはあまり知られていません。
5/23讀賣朝刊一面。iPS細胞で有名なノーベル賞学者、山中伸弥教授の寄稿。
要旨抜粋
1. 今回の新型コロナ禍の下では、世界中のほとんどの科学者の予想を上回る速度と効果のワクチンが開発され、接種が始まった。
2. 国民の半数以上が少なくとも1回のワクチン接種を済ませたイスラエル・英国などでは人口当たりの感染者数が日本を下回る事実があるので、ワクチン効果は間違いない。
3. 世界で最も感染者が多い米国でもワクチン接種者の増加に伴い、急速に社会・経済が正常化に向かっている。
上記1.2.3.は山中教授の意見ではなく、事実の列挙ですね。
以下は、山中教授の【意見】です。
4. 日本の命運はワクチン接種を円滑に進められるか否かにかかっている。
5. ワクチンでは、供給と接種体制以外に、国民のどれくらいが接種を希望するかがある。根強いワクチン不信があるが、接種率を上げる事が感染終息のカギである。
6. ワクチン効果の持続性の問題が残る。麻疹や風疹の免疫は数十年続くが、新型コロナワクチンの免疫は数か月であるとされる。アメリカのワクチン接種記録用紙には4回分の記入欄があり、近い将来の追加接種を想定している。つまり、継続的な供給接種体制が必要になるだろう。
確かに、麻疹などのワクチンは子供の時に接種すれば、ほぼ生涯に渡って予防効果がありますが、季節性インフルエンザのワクチンは、毎年秋冬に接種しなければなりませんので、コロナワクチンも免疫の持続性は同じでしょうね。そして「ワクチン不信」は、わたくしが子供の頃、に天然痘ワクチンや三種混合ワクチンなどで事故が起きて、日本人の「ワクチン・アレルギー」が形成された記憶があります。
でも、半世紀近く前と現在の医学の進歩は比べ物にならない訳ですから、この100年に一度の疫病には、もっと先進的に取り組むべきです。
私が子供の頃、予防接種を打つと必ず発熱や倦怠感があり、数日間はお風呂ダメでした。でも、今のインフルワクチンは打っても発熱も何も起こらず、お風呂もダメじゃないです。つまり、現在のコロナワクチンは開発初期で、私が子供の頃のワクチンと同レベルなのはしょうがないです。接種が進めばワクチンもどんどん改善されていくでしょう。
日本では2014年に国内製薬企業(アステラスとUMAファーマが共同)からの遺伝子組み換えワクチンの承認申請をしたが行政から認められず、2017年に申請を取り下げました。アメリカではほぼ同時期の2013年にモデルナがRNAワクチンを申請し認められ、130億円相当の補助金を支給されて研究開発を進めていたので、モデルナやファイザーなどはコロナ禍発生直後に迅速にワクチン開発をする事が出来たのです。
この件は、山中教授の寄稿には明記されていません。それは日本の医療行政・医学界への批判的な内容になるので、「アメリカでは、メッセンジャーRNA技術を用いて半年間という短期間でワクチンを開発した」とだけ記されています。日本の医学界の中心にいる山中教授の立場では、明確な厚労省批判はしにくいでしょうね。
わたくし、誰かに忖度・遠慮する必要が無いので、わかりやすく言い換えると、2013-14年に日米で遺伝子組み換えワクチンの承認申請がなされ、日本では却下、米では承認して補助金を出していたという、その行政判断の違いが新型コロナ禍におけるワクチン開発と生産の差につながっている訳です。
何度も言いますが、2014-17年時点で日本は新型コロナを含む新たな疫病へのワクチンの開発で遅れる事が決定していたのです。
2017年の申請取り下げ後、遺伝子組み換え技術を持つUMAファーマは資金難から塩野義製薬に身売りして塩野義製薬の子会社に。現在、塩野義製薬がUMAファーマの遺伝子組み換え技術で国産ワクチンを開発中で、今年中には接種可能になると広報しています。つまり2014年の申請を行政が許可していれば、今回のコロナ禍に対してファイザーやモデルナと同じ程度のスピードで国産ワクチンが出来ていた事は明らかです。
でも今さら言ってもしかたありません。
この厚労省の大フォルトでコロナ禍でのワクチン開発に世界で遅れをとったのですが、今度はコロナ治療薬では巻き返して欲しいところです!北里研究所が主導するコロナ治療薬、イベルメクチンは、その化学物質発見も医薬品化も我が国の純国産技術なのです!
あと、コロナワクチンに批判的な方々へ一言。
ワクチンの起源でもある天然痘の種痘の話しは小学校だか中学校だかで皆さん習ったはずです。イギリスの科学者が牛の天然痘である牛痘の膿を人間に植え付けて人間の天然痘への抗体を作ったというヤツです。当時は、「病気を植え付けるなんてトンデモない!」「種痘すると牛になる」などと非化学的な感情論が世論の過半だったそうです。
でも、今や天然痘はほぼ絶滅。ポリオや日本脳炎などもワクチンのおかげで心配ありません。医学が進歩するから人類も進歩するのです。
新たな疫病の克服は、医学者や製薬会社や行政などの非接種者のみでは達成できません。接種者である我々が受け入れる事が必要です。