国民投票法

今日は憲法記念日ですので、憲法の話題を。

4/29讀賣朝刊の4面。憲法改正の是非を問う国民投票法がもうすぐ決議される模様です。

わたくし、憲法改正には大賛成ですが、野党とは違う理由で国民投票には反対です。国民投票は議会制民主主義の欠陥制度だと思います。

なぜならば、国民の代表を代議士として議会に送り込んだ訳ですから、その代表者=代議士(代わりに議論する人)達がきちんと議論して結論を得て、国民はそれに従うのが議会制です。一つの政策をいちいち国民投票にすれば、議員は不要ですし、ある意味議員の責任放棄です。

そもそも議会制とは、古代ギリシャなどで市民が直接話し合って多数決で政策を決めていたら迷走し、多くの過ちが起きたのでその対策として議会制が出来たと習いました。市民・国民全員の直接投票は愚かな結論になる「愚衆政治」と言われるものです。

ごく近年も、いつくかの直接投票での愚かな結論が導き出された事例があります。

ひとつはイギリスのEU離脱に関する国民投票。もう一つは国民投票ではありませんが大阪都構想に関する2回の市民投票でした。いずれも僅差の結果です。つまり約半数は結果に不満を持っている訳です。そうした場合、その後の社会の一体性や秩序に悪影響が出ます。現実にスコットランドでは現在、「EU離脱はイングランドとウェールズの意見であり、我々の意見とは異なる。だからスコットランドは独立してEUに加盟する」とモメにモメています。大阪では、コロナ禍に振り回されて大阪都構想問題そのものが忘れ去られていますけど。

「代議員=支持者の代わりに議論する人」です。

議員とは、大きな決断案件に対して明確な方針と姿勢の立候補者に支持者が投票をして選出されるのです。また選出された議員は、大きな決断案件前には支持者と協議し、その声を基に自らの姿勢を決め、議会に臨むのが議会制度のあるべき姿です。

直接投票は、ある意味、直接投票は議員の責任逃れです。

あくまでも国会で議員が議論を尽くし、結論を得て、憲法を改正すべきと思います。

フィリップ カレッジリング