道徳感情論

日経朝刊一面にこのところ特集の囲み記事で「パクスなき世界」というコラムが載っています。古代ローマでは平和と秩序の女神を「Pax(パクス)」と呼んだそうです。新型コロナと並行して世界秩序が乱れてきている事を様々な切り口から記事にしているものです。

以下は2/22日経朝刊。

新型コロナの移動需要の激減で、米レンタカー大手ハーツが倒産したそうですが、その倒産直前に経営陣が特別ボーナス5.7億円を自ら経営会議で決議し、支給を受けたそうです。これ、一種の倒産詐欺です。

同様にコロナ禍で売上激減の百貨店大手JCペニーも破産直前にCEOに5億円近い報酬を支払ったとの事。

こいつらの思考回路には「道徳」がありません。

資本主義における企業は利益の追求が正義ですが、サラリーマン経営者が我田引水して会社に損害を与えて自らの利益を追求するのは詐欺です。企業の利益は、株主・取引先・従業員への配分原資だからこそ、極大化を追求しても責められないものです。

アメリカ企業の経営陣の高額報酬は有名ですが、これ、資本主義の誤った解釈だと思います。

近代資本主義の始祖とも言われる18世紀の経済学者アダム・スミスは、「神の見えざる手」で有名ですが、「道徳感情論」も唱えたそうです。

「他人を心にかけずにはいられない生まれ持った性質がある」

洋の東西を問わず、人には道徳心が求められ、特に企業経営者には利潤追求と人を気に掛ける道徳心の両方が噛み合って事、秩序と繁栄が保たれる。

その通りだと思います。

フィリップ カレッジリング