「ソリッドトップ」とは、カレッジリングのトップにストーン無しで彫刻の入るリングの事です。
今回、グループ注文のリングがソリッドトップで且つデザイン上、トップを黒美仕上げしないものでした。
ソフトバンクホークスのスタッフさん向け小型チャンピオンリングです。シルバー製ですので、時間が経つとトップのベースボールダイヤモンドとShマークが「いぶし銀」に変色する事が想定されますので、変色防止加工を行う事にしました。
変色防止加工は、最も手っ取り早い方法はロジウムメッキです。しかし、ロジウムメッキをすると銀特有の温かみのある銀色が失われ、いかにも人工的な艶感のある銀灰色=ステンレススチールのような色目になってしまうのです。
そこでPhilip College Ringでは、メッキ以外の方法として「単分子構造膜形成式変色防止加工」を行っています。植物由来の中性溶液に浸漬し、銀表面に中性の被膜を形成する事で、銀が黒っぽくなる硫化(酸化)を防止する方法です。
溶液には2種の製品があります。
左のシルキープが変色防止液、右の赤いボトルのコノシュアーは俗に言うシルバークリーナーで強アルカリ性。まずコノシュアーで銀表面の酸性を中和させ、更にシルキープで中性被膜を付けます。
作業手順をご紹介しましょう。
まず研磨、黒美仕上げなど全て終了したリング達を洗浄していきます。
右手前の濁った液体がコノシュアー。後の3個の容器は60度台のぬるま湯です。
このぬるま湯というのは大事。水分子が最も活性化する温度が40~60度。つまり熱いお風呂の温度のお湯ってとこで、決して熱湯ではありませんし、冷水もダメ。水分子が活性化しているという事は、表面の脂や汚れなどを「界面活性効果」で落としてくれるのです。
まずボトル1のぬるま湯で強めに攪拌して汚れ落とし洗浄。
次いでコノシュアーに数秒浸漬してゆっくり攪拌
そしてぬるま湯でリンス浸漬。
ボトルが2個あるのは、リング同士がぶつからないようスペースを取るためです。
リンスから引き上げてから拭きして、
変色させたくないリングトップを下にしてシルキープ液に浸漬。
浸漬時間は3-5分です。
再びから拭きして完了。
一晩、乾燥させて梱包します。
以上