さて、全ての閉じ口が溶接されたら、最後のメッキ工程に入ります。
メッキ作業のポイントは、
1)下準備
2)下処理
3)時間・温度 です。
まず、メッキ機材のビーカーや電極、防護網などをきれいに洗浄して準備します。
純金メッキ液200cc、適正温度は63度。この純金を含んだメッキ液はビーカー1杯分で1万円近くします。
次に下処理。メッキは汚れ・脂を極端に嫌いますので、メッキする部材にカーボンなどの汚れがないように酸洗いし、有機溶剤で脂分を落とした清浄状態にします。この下処理作業からメッキが完了するまで、一切素手では触りません。
これを手抜きするとメッキ品質が悪くなります。ムラや濁り、シミ、発色の悪さなどにつながるのです。
そしてリンス用の水も用意します。
まだまだ下処理です。有機溶剤から引き揚げた部材を手前の水でリンス洗浄して、最後の下処理の電解洗浄を行います。手前のビーカーが電解洗浄、奥のビーカーはメッキ液です。
電解洗浄とはイオン交換ですね。これでス穴や溶接部のデコボコ内部の不純物も完全に除去されて、本当の完全清浄状態になります。水に漬けると水の表面張力が無くなり水滴にならずに表面に幕が張るように濡れるようになればOK。
電解洗浄は、部材の表面積にもよりますが基本は1分間。
そしてようやく本番のメッキ。
63度の金メッキ液に欲しい色目まで約1分間を目安に浸漬します。考慮すべきは、部材の表面積、メッキ液の液中金属濃度。複数回使用したメッキ液は、液中金属濃度が下がっていますので長めに浸漬しないといけません。新しいメッキ液なら1分より早く引き上げないといけません。
ここは、温度・時間の定量的要素に視覚・直感の定性的要素もプラスする必要があります。
そして使い終わったメッキ機材は、全て水洗いして清潔にして乾燥させたうえで保管します。整理整頓までが作業のセットです。乱雑に散らばっていたり、道具・機械が手入れされていない現場から良い品質のモノは生まれません。
機材の整備まで終わるとようやくメッキ工程終了で、製品が出来ました。
全6回に渡ってお送りしてきたバッグ・チャーム製作シリーズ、終了です。
このチャームは、バッグブランドさんの発売前試作品です。
実際に発売になったら、もっと詳しく商品そのものをご紹介しますね。
おわり