企業の権力闘争

昨今、大企業の「お家騒動」の報道が多いですね。

 

企業内権力闘争は企業力をパワーダウンさせます。

 

 

実例1.セブン&アイ

 

3年前、セブンイレブンの祖:鈴木敏文氏が解任されました。昨年あたりから、盤石だったセブンイレブンの経営にほころびが出てきました。24時間営業をめぐる加盟店とのトラブル。消費期限切れ食品の廃棄ロス・値引き販売問題。恵方巻などのノルマ販売問題。セブンペイの不正利用事件。セブンはトップ交代後、どんどん悪い結果が噴出している典型例。

 

 

 

実例2. 日産自動車

 

いわずとしれたカルロス・ゴーンの逮捕・解任劇。現在の社長の西川氏の社長就任が2017年4月。この西川氏社長就任時から、権力闘争が始まっていたものと推測出来ます。すでに2017年8月に新型リーフの工場内情報の漏洩、同年9月には無資格者検査問題、2018年には排ガス性能検査結果改ざん問題などでリコールが相次いでいます。まだゴーン解任から半年強程度ですので、これからも問題が多数噴出するでしょう。今期決算ではなんと前期比98%減益となっています。

 

 

実例3. リクシル

 

今年6月の株主総会でのプロキシーファイトで決着がつくまでの約2年ほど、創業家の潮田氏と社長の瀬戸氏との激しい権力闘争が報道されました。リクシルは、住宅機器では最大手で、建材のトステム(旧社名トーヨーサッシ)、衛生陶器のイナックス、アルミサッシの新日軽などの合併集合体ですので、すべての個人住宅を1社で建てることが出来る日本唯一の企業です。

 

表立った不正や事件はありませんが、権力闘争が始まった2016年に過去最高売上高を記録して以降、前年比割れが続いています。

 

 

 

経営トップが権力闘争を始めると、当然ながらエンドユーザーや製品そのものへの経営関与が少なくなります。簡単に言うと、トップが「客を見ていない」「商品を見ていない」。自らの対抗者への闘争と保身に全力投球している訳です。

 

そうすると、部下のサラリーマン組織体は機能不全を起こします。もともとサラリーマンの多くは官僚同様、自らがイノベーションを起こしたり、発明をしたり、新しい事に果敢に挑戦する人種ではありません。前例踏襲、リスクを避ける、臭いものにふたをする、自らの成果の為には同僚・部下・上司・取引先を貶めることを苦としないなどの習性があります。

 

 

さて、ここに一つの傾向を見つけました。

 

サラリーマンといっても、多数派は前述の保身、リスク嫌い、挑戦嫌い、大きな成果を望まず、長く勤務することを是とする「保身派」とします。少数派ですが、リスクを取り新しい事にチャレンジし、失敗もあれど大きな成果を得ることが出来る人種を「挑戦派」としましょう。

 

 

保身派に多いのは、新卒採用・同一企業一筋。

 

挑戦派に多いのは、複数の転職経験有り。

 

 

カルロス・ゴーンは、ブラジル生まれのレバノン人でフランス育ち。ミシュランに入社し、ルノーに副社長としてスカウトされ、日産に出向の経歴は皆さんご存じ。移民の子がフランスの一流企業にスカウトされ、極東の関連会社に飛ばされつつもルノー・日産のトップに上り詰めました。

 

現社長の西川氏は、東大卒1970年日産に新卒入社以来、日産一筋。さしたるエピソード無し。

 

 

セブンアンドアイの鈴木敏文氏は、出版会社のトーハンからイトーヨーカドーにスカウトされ、コンビニ事業を始めるとき社内の反対を自らが保有するヨーカドー株で損失補填する約束をして子会社ヨークセブン(現セブンイレブンジャパン)を設立。元のフランチャイザー米サウスランドのセブンイレブンには無い、弁当やおにぎりの日に複数回配送の仕組みを作り上げ、コンビニ業界盤石トップのセブンイレブンを育てました。そして流通業界初のセブン銀行を設立したり、ナナコカードでいち早くキャシュレスに挑戦したり、公共料金の支払い窓口や宅配便の窓口など、コンビニが社会のインフラになる基礎をどしどし導入した人物。

 

現社長の井坂氏は青学卒、1980年セブンイレブンジャパンに新卒入社以来、セブン一筋。さしたるエピソード無し。

 

リクシル現CEOの瀬戸氏は、住友商事→米アイアンダイナミクス→モノタロウ→リクシル。瀬戸氏は「プロ経営者」として知られています。特に工具・資材特化型通販のモノタロウは創業後に、旧来の工具資材業界から既存の流通枠組み外のモノタロウを排除しようと不公正な取引を強要されますが法廷闘争で不公正を立証して圧力をかわし、大きく業績を伸ばして上場させました。

 

リクシル潮田氏は、東大卒後、父親の経営するトーヨーサッシ入社、以来トーヨーサッシ→社名変更トステム→合併リクシルと、これも一筋。

 

 

どうですかね?

 

やはり同じ企業一筋ってのは、世間が狭くなり、内向きになる傾向が強いのでしょうか?

 

フィリップ カレッジリング

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