レイバーシフト その6 最終回

今回のシリーズブログ【レイバーシフト】は、経済的・政治的要素を含んでいます。

 

特に前回と今回の「その6」では外国人労働者問題を扱いますので、反対と思われる方はコメント欄かトラックバックにご意見を頂いても結構です。ただし、匿名・誹謗中傷のコメントは削除致します。

 

 

様々な観点から5K職種の企業は賃金を上げなければなりません。現状の安い賃金のまま、人出不足だから外国人労働者を雇う・・・のは経営的にも間違いです。

 

ホワイトカラーとそん色が無いように待遇・報酬を上げれば、リストラされる元ホワイトカラーの優秀な労働力が確保出来ます。彼らは外国人労働者より賃金は高くなりますが、基本的な常識や概念など労働の質が高いです。その人件費増加分は、単に経費として価格に上乗せすればよいのです。既に宅急便業界や食品業界、建設業界で始まりました。

 

消費者はその価格を受け入れざるおえません。今や今日出せば明日届く社会のインフラたる宅急便が無くなる生活は出来ません。カップ麺やコンビニ食品無しに食生活は成り立ちません。建築費の高騰が言われていますが、建物は寿命があるので建て替えせざるおえません。

 

それとも昭和のように、小荷物は郵便局の営業時間内に持ち込むしかなく、コンビニは少なくてスーパーか商店で買った材料をイチから料理しますか? 大工さんの工賃が高いからといって、建て主自らがトンカチ・ノコギリで自宅を建てますか???

 

 

こうして5K職種の人件費増=商品価格増が起こって初めて年間インフレ率2%前後という「健全な経済成長」が達成するのです。

 

 

そしてリストラされたホワイトカラーが5K職種にレイバーシフトする事で、外国人労働者が代替する場合より国の所得税等の税収は増えます。彼らの可処分所得は国内に残留し、彼らが国内企業の製品やサービスを購入する事で企業の売上高も上がります。トータルで日本のGDPが増えるのです。

 

 

GDP計算はややこしいので、ひと昔前のGNP公式で見ると明らかです。

 

GNP=G+I+C+(EX-IN)

 

国民総生産(国富)=政府支出+民間企業設備投資+個人消費+(輸出-輸入又は自国通貨流出)

 

 

(G)政府支出の原資は税金です。賃金の安い外国人労働者が払う税よりレイバーシフトした元ホワイトカラー達の払う税の方が多いので税収増=国家予算増=政府支出増となります。

 

外国人労働者は「移民」ではなく「出稼ぎ」ですから、当然ながら所得を貯め込み、日本滞在中の活発な(C)個人消費は期待出来ません。5Kへレイバーシフトした元ホワイトカラー達は、可処分所得で日本企業の製品やサービスを買うので企業の売上高は増え、(I)民間設備投資も増えます。所得水準の低い外国人労働者を流入させることで日本企業は「将来の有力なお客さん」を失う事になり、自らの首を絞めることになります。

 

 

更に、外国人労働者は貯め込んだカネは自国に持ち帰るのですから、(IN)自国通貨流出になり、日本の海外収支は減ります。労働力を外国人に頼ることで、日本の豊かさはどんどん減少するのです。

 

 

こんな事は経済学者・政治学者、キレる官僚、経営者には分かり切った事ですが、そうはいかないのが世の中。。

 

さて、今後の日本の指導者達はこの問題をどう扱うでしょうか?少子化問題に隠れていますが、1000万人規模のホワイトカラーが職を失い始めてから慌てて対策を打つ、、、、イコール日本経済の下降になるのは避けて欲しいです。

 

 

シリーズブログ【レイバーシフト】終わり

フィリップ カレッジリング

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