【レイバーシフト】その4

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ちなみにタイトルの【レイバーシフト】は、アルビン・トフラーの「パワーシフト」にヒントを得た造語です。

 

 

 

前回の「その3」では、銀行・証券などの金融機関で大リストラが起こりえる(起きている)事をお伝えしました。

 

 

別の流れも、そのレイバーシフトを促進するでしょう。

 

「別の流れ」とは、「5K」のKが減ります。従来の5K職種の賃金が上がり、「給料が安い」が消えます。そして世の中に必要な職業とそうでない職業の概念変化が起こり、「カッコ悪い」が消えます。

 

どれだけIT化されようが産業ロボットが発達しようが、人間でなければ行えない職業は世の中から尊重されるムードになるのです。

 

大工さんがいなければ家に住めません。建設作業員がいなければビル建ちません。宅急便のお兄ちゃんがいなければ、amazonで買ったものが届きません。ごみ収集車のおじさんがいなければ街中ゴミだらけになります。

 

 

どれだけ工場がオートメ化、ロボット化されても、オートメーション機器やロボットを企画設計し、作って設置してメンテナンスするのは人間。AIが勝手に新たな機器を考え出し、自動的に設計し、ロボットが自動的にロボットを組み立て、ロボットが工場にロボットを設置する???・・・はあり得ません。

 

AIやロボットに代替出来ない仕事、社会生活を支える仕事、その仕事をする人がいなければ便利な生活が出来なくなる仕事、、、これ、かなり5K職種に多いのです。

 

従って近い将来、5Kの職種の「K」が見直される時が来るでしょう。

 

 

 

いや、既に見直しが始まっています。この2019年春、相次いで値上げがありました。食品、菓子、飲料など身近な商品の値上げされています。他に、外食、レジャーなどなど。理由は、原材料費の上昇、物流費の上昇、そして人手不足による人件費の上昇と言われています。

 

原材料費といっても別に政府売り渡しの小麦の価格が上がった訳ではありません。植物油の原料価格が上がった訳ではありません。法律が変わって、それに対応するために最新鋭の設備投資を多大に行った訳ではありません。原料を製造する際の製造コスト=人件費が上がったのです。

 

物流費の上昇と言っても、トラックを一斉に買い替えた訳ではありません。ガソリン価格も5年推移でみると、今年になって異常に値上がりという訳ではありません。長期的には、EVやHVなどの非ガソリン車が主流になりますし、今の瞬間的原油高は米国のイラン制裁などの政治的力学が働いている面もありますので、長期的にはガソリン価格は横ばいから下落傾向でしょう。


 

昨年春にヤマト運輸はじめ多くの宅急便が値上げしました。要はドライバー人件費の上昇です。

 

つまり、食品工場従業員、トラックドライバー、レストラン、レジャー施設などの従業者の人件費がジワジワ上昇しだしているのです。

 

 

キツくて、汚くて、危険は伴うかもしれないけど、給料が上がり、社会的存在意義からかっこ悪くなくなった5K職種は、ある意味魅力的な雇用の受け皿になります。またリストラされて「キツいとか汚いとかナンのって言ってらんない」ホワイトカラーからの流入がスムースになります。

 

こうして5K職種の地位・待遇・報酬が上がるのです。

 

 

2018年に成立した外国人特定技能在留資格法審議の際に厚労省から示された今後の労働需給予測では、少子高齢化による労働人口の減少と人出不足が言われる特定産業分野(介護・ビルメンテ・農業・工業・外食業等の5K職種)の労働力不足は2025年までに145万人と予測されています。しかし実際には今後約1000万人のホワイトカラーがこれらの職種にシフト可能なのです。一ケタが違います。逆に855万人に職が不足する計算です。

 

だから「日本は人出不足ではない」のです。

 

(つづく)

フィリップ カレッジリング

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