新兵器ダイヤモンドテスター その5

さて、前回は中国でも高精度の人工ダイヤ:モアサナイトを生産しているようで、その中国産モアサナイトが「中国のダイヤ生産量の1/2は偽物」「上海で売られているダイヤの14%は偽物」と疑問視される背景とご説明しました。

 

 

天然ダイヤ

 

モアサナイト

区別つきませんわな・・・・

 

 

そもそもダイヤモンドは、炭素の結晶です。1796年にイギリスの科学者スミソン・テナントという人が「ダイヤは炭素の結晶」であることを発見しました。鉛筆の芯と同じ材料って事です。

 

ダイヤの化学式はC つまり炭素のみ。

 

科学者じゃ無いので原理は知りませんが、ようは炭素がマントル(地球の内殻)に近い高温高圧化で結晶になり透明化したもの。その結晶構造が8面体の「ダイヤモンド結晶」なので、その構造を生かして様々な輝きの良いカットが施されます。

 

 

モアサナイトの化学式はSiC。

↑モアサナイト粒子の顕微鏡拡大写真

 

炭素にケイ素を加えたものです。モース硬度がほぼ9とダイヤに次ぐサファイヤやルビーなどコランダム系鉱物とほぼ同じ硬さ。光の屈折率や分散率=つまり輝きの要素は、ダイヤ以上の数値。なので専門家でもダイヤと判別がつかないのです。

 

このモアサナイトは半導体材料でもあるので、コンピューターやスマホなどIT機器の需要の高まりとともに近年モアサナイトのニーズが膨らんでいるそうです。

 

下は、ワタクシの独自調べの数値を表にしたもの。

モアサナイトの光屈折率はダイヤ以上、分散率に至ってはダイヤの25倍!そりゃダイヤと同等かそれ以上に光り輝く透明の石になります。おまけにCZより硬いときてます。

 

判別の際のもうひとつポイントになるのは熱伝導。「優」は熱伝導が優れている=熱を放出しやすい。「弱」は熱を抱え込んでしまう。つまり、ダイヤに熱を加えてもあまり熱くならない。CZに熱を加えると熱くなるって事です。

 

さて、本題のダイヤモンドテスターの原理。

このダイヤテスターは、光分散率・屈折率とともに熱伝導も感知するようになっていて、内蔵チップに上記の天然ダイヤ・モアサナイト・それ以外の鉱物の数値が記憶されています。このテスターの先端をダイヤ表面にあてがうと、光と熱を発して、その分散率・反射率・そして熱伝導状況をセンシングプローブ(センサー)が感知し、記憶している数値と照らし合わせて、天然ダイヤより光分散と屈折が高く、熱がやや篭るものをモアサナイトと判別する機能がついています。

 

ようは、上記表の各数値をメモリしてあり、光と熱の感知数値で判別するってコト。

 

 

 

ネットで「ダイヤモンドテスター」を検索すると、、、、

 

 

2000円以下の安い機種がたくさん出てきます。これらの機種は、天然ダイヤとキュービックジルコニアなどの人口宝石を区別する機能だけしかついていません。つまり、光の反射(屈折率)のみを感知し、屈折率2.4以下はダイヤじゃない(CZは2.2)と判別する単機能のみです。

 


やや高性能な6000円台のもので熱伝導を調べる機能もついているのですが、CZの熱伝導は「弱」なので「熱が籠ったらCZ、篭らなかったらダイヤ」としか判別しません。モアサイトの熱伝導は「強」ですから、この判別方法だとモアサナイトは「熱が籠らないのでダイヤ」と判別してしまいます。

 

 

従って3万円以上もするモアナサイト判別機能付きのテスターを購入したのです。

今後のブログでは、実際の判別作業をお伝えしましょう。

フィリップ カレッジリング

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