新兵器ダイヤモンドテスター その4

「新兵器ダイヤモンドテスター」は工具紹介シリーズのブログですが、今回は工具そのものではなく、ダイヤモンドと人工ダイヤのお話し。

 

 

まず世界のダイヤモンドの産地分布。

どうも北極南極寄りの地層しかダイヤを産出しないようです。でも不思議??オーストラリア、南アフリカではダイヤ出るのに、南米のチリやアルゼンチンでは出ないのかしら?もしかしたら、まだ未開拓なのかな?きっとグリーンランドやアラスカにも埋蔵されてるはずですが、厳しい気候と地形から採掘に無理があるのでしょう。

 

産出量1位はロシア 主にシベリアで産出されます。

こんな感じの露天掘り鉱山だそうです。

 

2位はボツワナ 3位はその隣のコンゴ 5位 南アフリカ 7位 アンゴラ 8位 ナミビアとアフリカ南部が一大大産地。そして4位オーストラリア 6位のカナダ。こうしてみると、ロシアを除くと旧英国植民地か英国連邦構成国が大部分を占めている事にも気づきます。従って、これらの旧大英帝国のダイヤ産出国に権益を持つ英デビアス社がダイヤモンド世界最大手。

デビアスの名前は皆さんご存知ですよね。

 

上記産出量1位から6位の国でダイヤモンド産出量の90%のシェアになっています。

 

7位に中国 が入るのですが、ここが大問題。元々は中国とロシア・シベリアの国境地帯と北朝鮮国境付近で少量のダイヤが産出されいたのですが、先のブログでお伝えしたように近年になって中国のダイヤ産出量が急増し産出量7位に。でもその産出量の半分近くは人工ダイヤではないか??という調査結果もあるのです。地理的にも日本に近い中国産のダイヤに疑念があるという事は大問題です。これ、ダイヤテスター導入とダイヤのお勉強の大きな動機でした。

 

 

次に人工ダイヤのお勉強。学術的には「ダイヤ類似石」と言われます。

 

中世からダイヤ類似石は作られていたそうで、主にガラスに鉛などを混ぜて輝きを強化したものだったらしのですが、割れちゃうので直ぐバレますわね。

 

20世紀にはいると工業的に人口宝石が合成されるようになりました。その動機は偽宝石作りではなく、工業用の切削材や研磨剤として合成が研究されたのです。主に軍事用途です。ミサイルやロケット、潜水艦などの被殻に使われるステンレススチールやチタン、タングステンなどの硬度の高い金属を精度高く切削・研磨する先端工具に利用するために研究開発されました。

 

1940年頃までには、合成コランダム(ルビー・サファイヤ)、キュービックジルコニアなどの合成方法が確立され、第二次世界大戦後には【YAG】と呼ばれる組成合成法により、本格的な人口宝石が工業生産されるようになりました。

 

カレッジリングに大粒のカラーストーンが載るようになったのはその副産物。

インターネット同様に軍事技術の民生化の副産物ってやつです。

 

アメリカのナショナルリード、ユニオンカーバイド、ライトシステムズなどが大手です。現在でも人口宝石はアメリカが最も生産量が多い国です。Philip College Ringの標準人工石もmade in USA。

 

そして1998年、米チャールズ&コルバート社が「モアサナイト」という高精度人工ダイヤの生産方法を発見します。このモアサナイト、専門家でも天然ダイヤと判別がつきません。特許製法ですのでモアサナイトを商業的に生産販売するのはチャールズ&コルバート社のみのはずなのですが、、、、、、、中国でもモアサナイトを生産出来ているようです。事実としたら特許パクリ。これまた、ドナルド・トランプが知的財産侵害だって怒ってる事の一環ですわな。

 

その中国産モアサナイトが「中国のダイヤ生産量の1/2は偽物」「上海で売られているダイヤの14%は偽物」とされる背景です。

 

続く

フィリップ カレッジリング

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