シリーズ:エナメル加工 その2

今回は、ハードエナメル(七宝焼き)について。
コイツは、難しいンデス。。。。
でも出来上がりの美しさと耐久性は抜群。

日本の七宝焼きの産地は、愛知県海部郡周辺。日本の独自技術と思われる方も多いでしょうけど、中近東発祥で、エナメル技法が最も発達したのは、フランス。用語もほとんどフランス語です。

bassetaille:バスタイユ 半透明状の仕上げの事
champleve:シャンルヴエ くぼみにエナメルを盛る事
cloisonne:クロワゾネ  ワイヤーで模様の輪郭を作り込む技法
などなど。。。。

関東で唯一エナメル材料を作っている埼玉の某七宝屋さんに、数年前、幾度も通って使い方をご教授頂きました。こちらの七宝屋さんは、さいたま市から「伝統工芸産業」に指定されていて、世界17カ国に七宝材料を輸出している、知るヒトぞ知る「技術を持つ日本の中小企業」の代表格です。社長さんは、オントシ80歳ですが、七宝の事を語り出すと止まりません・・・・・・・・

粉の特性、下地金属との関係性、温度による出来上がりの差や発色の違い、などなど。。。。。とても奥が深いデス。

短期間の習いごとでしたが、一応、習得したってコトで、お土産に素晴らしい七宝焼きが施されたぶんちんを頂きました!


う~、う~、う~、ワタクシにはこんな複雑な模様やグラデーションはデキマセン・・・・

ワタクシでは、ロゴマークを指定色で塗る単純なやり方で・・・・・でも、難しいンデスよ!

七宝の粉を水で溶いたドロドロ液体を盛って焼く必要があるので、リングのサイドパネルなどの曲面には加工出来ません。チャンピオンリングの平面トップとかメダル類のみに使用します。

ハードエナメル使用例:


写真では分かり難いかもしれませんが、独特のモッコリと盛り上がった出来上がりと透明感がハードエナメルの魅力です。

拡大写真:

これは、赤と白のエナメルの上に、更に焼くと透明になる上薬(トップコート)を塗って二度焼きすると、全体を透明なエナメル質が包み込んで、より美しく見えるんです。
焼き上がって、充分に冷ましたら目の細かいサンドペーパーで削り出しで、形を整えます。

焼成温度は、下地素材にもよりますが700-800℃前後なので、家庭用オーブン(200-300℃)では出力不足です。ウチでは、中古で購入したボロっちいオーブンで焼きます。ボロいんで、ビミョーに温度ムラがあったりして、失敗する時もあります。

本当は、マイクロウエーブキルンという最新式のオーブンが欲しいんですけど・・・・これなら、熱風式じゃないので、温度ムラによる焼きムラは無いそうなんです!

カタログ取り寄せたら、なんと300万円もするんです。。。
それに、電源を増設する必要も。。。。
重量も100kg近いので、木造家屋改造工房のウチでは台座補強も必要。。。
ビンボーなPhilip College Ringは買えません!

でも、ハードエナメル・ソフトエナメル両方を駆使して、カレッジリング・チャンピオンリングにご要望の着色を致しますので、是非ご用命を!

特にマンダリン(オレンジ色)はお安くしまっせ!!!

フィリップ カレッジリング

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